ダイビングをきっかけにして出会いを見つけたい!という男女は少なからずいると思う。
ダイビングにはバディシステムというルールがあり、バディというその響きから何かしらトキめいてしまう女子も多いと思う。
ダイビングのバディシステムとは、ダイビングの最初から最後まで一緒にペアを組むパートナーのことで、お互いの装備のチェックや残圧の確認、海中で相手にトラブルが起きた時には対処をするという決まり事のことだ。
思うにダイビングをきっかけにして恋愛に持ち込むのは、例えば街で偶然出会って恋人同士に発展するよりもリスクが伴う分、一度「ダイビングも日常もバディ同士」になってしまったら他の異性に代えることができない唯一無二の相手になる確率が高い。
では、ダイビングをきっかけに恋人同士になるまで、そして、なった後のリスクとは何なのだろうか。
リスク1. あられもない姿を見られるリスクが高い。
まずスッピン。
若い場合はたいして問題ではないだろうが、ある一定の年齢を越えると、人前でスッピンを晒すことは軽犯罪を犯している気分になってくる。
一夜を勢いで共にして、朝起きたら彼女の化粧が落ちて平らな別人になっていた、よりは驚きは少ないだろうが、やはり見られる側としては心が痛む。
そして特に35歳を越えると、弾力性が失われつつある肌についた跡がなかなか消えてくれない。
私は朝起きたら顔に枕の跡がついていて、会社についてもなかなか消えてくれないという情けない状況がたまにある。
だが、枕の跡とは比較にならないほどの強い圧で顔に刻まれたマスクの跡には、ほとほと対処のしようがなくて笑える。
そして水中では皆、水圧でマスクが圧迫されて額にかなり深いシワができてしまう。
おまけにレギュをくわえて口も膨らみ、更に寒くて頭にフードをかぶると、もう誰もが正体不明のタコボウズ。
もうどんな美男美女でも、海中では半減だ。
そして慣れない頃は耳抜きに手こずる場合があるが、鼻をマスクの上からつまんでティッシュで鼻をかむように空気を送るという手順をやっていたら、間違いなく鼻から何かが出る。
そのまま気がつかずに船上に上がってしまうと、あられもない姿を皆様にお披露目することになってしまう。
そんな姿を恋愛対象になるだろう相手に見られるわけであるから、それは既に同棲していて寝るのもトイレも一緒のスペース、みたいな一山超えたようなカップルの絆が出来上がる。
リスク2. ダイビングに対する温度差、経験値に差がありすぎると衝突する。
恋人同士で一緒にライセンスを取得した経験は、その時に見た風景や感情がセットになって、ひとつランク上の思い出となって記憶されることになるだろう。
ただし、二人とも「うまくいけば」の話だ。
一度見たことがある。
体験ダイビングから早々に引き上げたカップルのうち彼女が「もうやだ・・なんでこんなことしなくちゃならないの」とバスタオルにしがみついてすすり泣いていて、彼氏がただ一点を見つめて呆然としてる姿を。
もうこの二人は揃って海に潜ることはないんだろう。
ダイビングが趣味で知り合い恋人同士になったのはいいが、彼の方がダイビングの経験が少なく、器材の扱いや周囲への気配りに欠けていたのがどうしても許せなくて別れてしまったという話も聞いたことがある。
彼氏が緊急浮上してしまったカップルのこんな話もある。
余計なお世話だが、この事件がきっかけで二人は別れてしまったのではないだろうか。
けれど海の中で、少しの危機感と非現実的なトリップ感を二人で上手に共有できるバディは、日常生活の中でも深く、特別な相手となるのではないだろうか。
病める時も健やかなる時も、バディシステムを陸の上でも順守したくなる。
そして何よりダイビングは旅行や遠出が伴うから、ダイビング以外のあれやこれやのストーリーも加わり、まさに二人だけの共有の財産になる。
海の話をつまみに、人生のバディと酒が飲める。
それって、なんとも豊かで幸せなことだなあ、と思う。
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